引きこもりの俺が何かを言った。

愛梨side



しばらくして家からまなが出てきた。

まなの落胆した表情をみる限り、無理だったみたいだ。

まなは私をみると、申し訳なさそうに目を伏せた。

「愛梨ちゃん。ごめんね。また、無理だった」

「ううん!まなが謝らなくていいよ。……そっか。爽ちゃん、まだ無理なんだね」

私は手に持ってる「体育祭開催のお知らせ」と書かれている紙をみて、肩を落とした。

体を動かすの大好きで、小学校の運動会ではいつも1位だった爽ちゃん。
体育祭があるって知ったら、出てきてくれると思ったんだけどな……。

私、井戸端愛梨(いどばたあいり)と爽ちゃんは小さい頃からの幼馴染み。
高校も一緒でクラスも同じ。

でも最後に爽ちゃんと会ったのは、もう3年前になる。

3年前のあの日から爽ちゃんは、引きこもりになった。

< 5 / 33 >

この作品をシェア

pagetop