引きこもりの俺が何かを言った。


「ああ、そうだよ。俺は利口なんだ。下で暮らしていれば、上の変な争いに巻き込まれずに済むし、いじめられることはあってもこうして家に引きこもっとけば、その心配はない。つまり、この世界で一番利口なのは、俺のように影にひそんで周りの様子を伺ってるだけの、ヘビなんだよ」

言い終えるとまなが軽蔑の眼差しで俺をみていた。

正直、妹にこの眼差しでみられるのはツライ。

まなは立ち上がり、「意味わかんない!」と怒ったようにバタン!とドアをしめた。

俺はコントローラーを手にし、ゲームを再開する。

そう。この世界で一番強いのはヘビなんだよ。

ライオンが強いなんて誰が決めた?

ライオンは弱いやつらを食って優越感というものに浸っている。

そして今も「どいつを食べようか」なんて獲物を探してるに違いない。

そのターゲットにならない方法はただひとつ。


ライオンの視界に入らなければいいだけだ。

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