エリート医師に結婚しろと迫られてます

美月の後に続いて、
よれよれと自分のデスクに戻る。

椅子に座らないまま、
いきなり、美月の手から、
受話器を渡された。


「なに?これ。本当に電話だったの?」

私は、固定電話なんてまるで見たことないっていう若者を気取って言う。

ひょっとしたら、美月だって
見逃してくれるかも。

「電話って言ったじゃないですか?」

「ええっ!!私を助け出してくれるための口実じゃなかったの?」


私は、子供の頃やらされた、
ジェスチャーのゲームのように、
声が漏れないように、身ぶり手振りで返事する。


お題は…
砂漠から、助け出してくれた美月に、弁護士はもう帰ったって伝えてと訴える。

でも、美月は付き合う気などさらさらないようだ。

「ダメです。先生。出て下さい」
美月の無情な声がする。

受話器から、聞き慣れた声がする。

宇宙人のあとには、暴君ネロ様だ。

うわっ、今日の会いたくないリストの筆頭だ。
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