エリート医師に結婚しろと迫られてます
美月がメイクを始めてもっと驚いた。
「こら、逃げるな…変なとこにライン引くよ…もう!今までどうしてたの!!」
くすぐったい!こんなこと、毎日するの!
「もう、いいわよ。鏡見て」
美月が、うんざりしながらいう。
「ちょっと、何これ!!」
「まあ、眉毛整えて、顔の回りもきれいに掃除したから。普段何もしてない分、変化も大きいのね」
美月が疲れたと、息を吐く。
「でも、どうするのよ」
私は、鏡を見て、おろおろしていた。
「何が?」
「一旦、この顔で表に出たら、ずっと同じ顔でいなきゃいけないでしょう?」
こんな顔、とても一人じゃ作れない。
「まあ、そうね」
「メイクした順番、どうだったっけ?全然覚えてないよ。それに、なにその道具」
ファンデーションだって一種類じゃないし。口紅だって何本あるの?それに、ハケだの鉛筆だのすごい数の道具だ。
「女の人って、すごいのね」
お兄ちゃん並みの工具箱のようなメイクボックスと、日々の鍛錬で成り立ってるのね。
すごい…
私は、美月のこと尊敬の眼差しで見る。
「っていうか、今までよくそれで生きてきたのか、そっちのほうが不思議だわ」
「本当だ」
六法全書の条文を探すのなら、負けないけど。
その箱の中にどこに何があるのか、把握してるのはすごいなあ。