エリート医師に結婚しろと迫られてます
私の人生は、ナレーター役のはず。
物語には加わらず、枠の外からもっともらしいことを述べる。そういうのは、得意だ。いつもしてきたから。
自分が主人公になるなど、真っ平だと思ってきた。
たいてい…悪い結果で終わることが多く、王子様だと思ってた相手は、別の人を好きになったり、やっぱり違うわと言ってあっさり去って行った。
なのに、
突然現れた絵本に出てくるような、この本物みたいな容姿をした王子様は、
お姫様にではなく、涼しい顔して台本を読むだけでよかった私に、キスをしたのだ。
キスだけでなく…映像でしか見たことのない…あんなことも…数えきれないほど。
森谷さんとは、あの後、医局からの呼び出しがくるまで、一緒に部屋で過ごした。
また連絡するからと言い残し、飛んで行った。
「鍵は、そのまま持ってて」
無くしちゃだめだよと、キスして出ていった。そして、月曜日になっても何の連絡もない。
正義の女神を見るたびに、人生重大な事件を、起こしたように動揺していた私も、
時間が経つに連れ、雲の上を歩いていた感覚から、地に足がついてきた。