エリート医師に結婚しろと迫られてます
「潤也の事務所どこだっけ?」
一応聞いてあげる。大手の事務所なんて興味ないけど。
「言ってなかったか?」
「聞いてたと思うけど、聞いてたってどこだったか忘れた」
彼は、バッグの中から名刺を取り出すと、裏に携帯の番号を書いた。
うらやましいほどシンプルな、出来る弁護士の名刺だ。
「ほら、やる」
彼は、私が名刺を取ろうとすると、手を引っ込めて名刺を取るのを邪魔する。
「何してるのよ」
「俺のだけ聞きだそうとするの、ずるいだろ?」
別に教えてくださいって、私がお願いしたわけじゃないわよ。
「名刺は…切らしてるのよ」
あんな名刺を渡したら、こんなところで、腹の底から笑われる。
「はあ?」
っていううか、クライアント以外渡したくないし。
知り合いなんかもってのほか。
「じゃあ、これに書け」
彼は、小さな手帳を広げると住所録にある項目すべてを書けと命令した。
「潤也の事務所、ここから近いの?」
「ああ、目と鼻の先だ」
聞く前に名刺見ろ、って目で見られる。
ふむ…やっぱり家賃の高い丸の内。
東京都千代田区丸の内…森谷法律事務所
ええっ?
森谷法律事務所??
マジか…