エリート医師に結婚しろと迫られてます


きゃーっと地味に反応した美月は、さっと兄のもとへ近寄った。

大げさに頭を下げ、
「初めまして。私、麻結子さんのアシスタントをしてます。美月です」

といって、握手を求める。
こんなふうだから、兄も勘違いするのだろうか?

兄は、いきなり近づいてきた女性に戸惑っていて、誰だ君は?って顔して美月を見ている。

私は、後ろから、近づいて兄に説明する。
「うちのアシスタント、お兄ちゃんが呼んだんでしょう?」

「ああ、そうだったっけ。どうも初めまして。麻結子の兄の浅倉基樹です」

兄は、気前よく笑顔まで添えて右手を差し出した。

その流れで兄は、そのまま美月を店の方へ案内した。

私は、兄に、帰るなよと目配せをされて仕方なく二人の後に続いた。

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