エリート医師に結婚しろと迫られてます
「相沢!冗談じゃない。何であいつが出てくるの」
「だって、忘れてもよかったんでしょ?会わなかったほうがよかったんでしょ?」
「本当にそうだ。君なんか知らなかったら、もっと人生は単純だった」
暗い顔。
本当に、会わなきゃよかったと思ってるみたい。
「もう…なんて顔してるの。ずっとそうやって、私を責める気ね?」
「責める?どうして責めるだなんて言うの」
時どき、どう思ってるの?なんて考えてしまう。
私は、やけになって、昔、真理絵に教えてもらったように、そっと、相手の胸に手を置いて、お願い事を聞いてもらうときのように、彼の顔を見上げた。
特に変化なし。何してんの?って顔。
私ごときが、こんなことしても、森谷さんほどの人は、全然気にしてないみたいだ。
彼は、無表情で私を見下ろしてる。
『いい、麻結?それでも効かなかったら、彼の胸に顔を埋めて裕貴さん、好きって言ってご覧なさい。ちょっとやってみて。ん、そうねえ。それでもいいけど、もっと体を密着させて…そう。完璧』
真理絵に従って、最後までやってみる。
「裕貴さん、好き…」
最後に、ちょっと腕を回して抱きしめてみた。
「うっ…」と、
何かものを飲み込んだ時に、出るような声がしたと思ったら、彼の腕が私の体をさっと引き離した。