エリート医師に結婚しろと迫られてます
「奇跡みたい」
手を取り合って、見つめあっていると、いつの間にか寄り添うように体を寄せ合う。
「奇跡なんかじゃない。僕は、君のお祖母さんがしてたように、手袋と殺虫剤を持ってひたすら虫退治してただけだから」
「虫退治って、もっと別の言い方ってないの?」
彼は、急に真剣な顔になった。
「愛してるよ。愛ってこんなに地道な作業だと思ってなかったけど」
私は、真理絵に教わったように彼の胸にぴったりと寄り添う。
「確かに。もう少しロマンティックで、気がきいてるといいわね」
「ごめんよ。僕はロマンスなんかより、現実の方に興味があるからね」
「んん……もったいないなあ。せっかく王子様みたいな外見なのに」
もう一度、彼の顔をよく見る。
素敵な人だ。
「もったいなくはないさ、その恩恵にあずかってきたから。もし、僕が平凡な容姿をしてたら、麻結は、僕のことなんか好きにならなかっただろう?」
「いいえ。そんなこと無いわよ。
出っ歯な背の低い男の子でも、それなりに好きだったわよ」
私は、伸び上がってその、不安そうな瞳の脇にキスをする。
外見だけじゃなくて、こんな人と将来を誓い合うことが出来るなんて。
「嘘だ」
「これだけ言っても、信じないつもりね。
私も嘘は嫌い。不安になる前に、真っ直ぐ向かい合って、どうして欲しいのか、ちゃんと話して」