エリート医師に結婚しろと迫られてます

「それ、何てお酒ですか?」

「ああ、これは飛露喜。東北の会津のお酒てす」

「ヒロキだって?」
目が合っちゃった。
グラスのお酒を眺めたり、匂いを嗅いでお酒を味わっている。

おおっ!

イケメンが反応した。
まともに見つめられると、スゴい迫力だなあ…

「えっ?ああ、そうだった。森谷さんも裕貴さんっていうんですね」
ああ、ビックリした。名前が同じだから反応したんだ。


「それ、いただいてもいいてすか?」
気さくに話しかけて来る。

いいですよ。ちょっと待ってくださいね。メニュー…

「えっ?」

森谷さんは、メニューを取ろうとした私の手より先に、私のグラスをヒョイっと持ち上げた。


彼は、私が呆気に取られてるうちに、私のグラスに重ねて口をつけ、そのままお酒を味わった。


「うん、なかなかいいですね。自分の名前と、同じだからかもしれませんが、好きですよ。この味」

森谷さんが、嬉しそうに笑ったので、
私もつられて笑った。

この人、天然かしら?

でも、計算で、こんなことする理由がないか。

どっちでもいいか、たいして意味はないだろう。

森谷さんは本当に、穏やかに笑う人だと思う。








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