エリート医師に結婚しろと迫られてます
絵本には、いくらでも、お姫様や美しい女の子が出てくるけど、
お姫様みたいに扱われるのは、
真理絵のように、ほんの一握りの
きれいな子だ。
その年の学芸会は、
真理絵の強烈な印象だけが残った。
ただ、女の子だってだけで、
生きていけるのは真理絵みたいな子で、
自分はそうじゃない。
私は、子供の頃から、その事に気づいていた。真理絵の横にいることによって。
私は、その頃から一部の恵まれた人、と言うことに気がついていた。
『あ~あ。サンタクロースは毎年家に来てくれるのに、王子様はどうして来てくれないのかしら…』
という問いに、
『王子様は、サンタクロースと違って、
周りにたくさん存在すると、その価値が下がってしまうからよ。
クラスの男子がみんな王子様になったら、王子様は王子様じゃなくなるのよ…』
『そうなんだ。やっぱり、麻結って何でも知ってるのね。天才!!』
私は…密かに気が楽になった。
例え、見た目で気を引くことは出来なくても、それ以外で、生き残る方法があると思えたから。
私のところにまで、
王子さまが来てくれるわけじゃない。
だから、普通の子は、おとぎ話を信じて、
王子様を待ってちゃいけないんだと思った。