エリート医師に結婚しろと迫られてます
私も30歳になろうとしているのだから、真理絵も同じ年齢のはずだ。
なのに今でも、周りの子が、霞んでしまうくらいきれいだ。
性格も、女の私ですら、手を差しのべたくなるほど、儚くて頼りなくて守ってあげたくなる。
これに、潤んだ目付きまで加わると、
大抵の男は、自分の彼女をほったらかして、真理絵の世話を焼く。
私にだって数少ない、ボーイフレンドもいた。兄が母に、半ば強制的に、仕方なくつれてくる、友達とか後輩だ。
出っ歯とチビの兄の男友達も、
真理絵を見た瞬間、私を口実にして、
真理絵に会いたいために、私をだしに使った。
頑張って知性を磨いても、一瞬で真理絵に引き付けられ、まるで磁石に群がる屑鉄のように真理絵は、彼らを引き付けた。
『早くから、どんなやつかわかってよかったじゃないか』と兄が笑って言う。
『屑鉄じゃない男って、涼平さんだけだね…』
私は、大学に入って真理絵と離れるまで、
ずっと壊滅的にもてないと思い込んでいた。
それでも、私にはいつも慰めてくれる涼平さんがいる。もう…それでよかった。
白い肌に潤んだ大きな瞳。
きれいな指で、
「大丈夫?」って熱を測られ
「寝てなさいって」天使みたいに、
きれいな声でささやかれたら、
女の私だって死んでもいいと思う。
「熱なんかないって」
「うん…でも」
屑鉄みたいな男の子なんか、いなくてもいい。私には真理絵がいる。