エリート医師に結婚しろと迫られてます
「こちらは?麻結子の友達?」
「うん、そうだよ」
ぼんやりしていた私は、
振り返って返事をしようとして
足を取られ、バランスを崩した。
「危なっ…」
森谷さんは、腕をさっと伸ばし
足を取られそうになった私の、
肩を支えてくれた。
彼は、肩から背中に手をすべらせ、
そのまま置いている。
「初めまして…真理絵と申します。
よろしくお願いいたします」
真理絵は、丁寧に頭を下げた。
森谷さんも、私から真理絵の方へ
視線を向けると、
「こちらこそ、初めまして」
と言って軽く頭を下げた。
私は、注意深く彼の様子をみていた。
少しでも、真理に彼が好意を示したら、すぐにでも二人を砂浜に残して走り去ろう。
しばらく彼の顔を見ながら、覚悟を決め、セリフまで用意しながら待ち構えてても、何も起こらなかった。
彼は、特に熱のこもった目で真理絵を見つめるわけでもなく、
ごく普通に話している。
私は、拍子抜けした。
真理絵をみて、普段と変わりなくいられるのは、
お兄ちゃんと涼平さんくらいだから。
それどころか、時々
''二人は''とか、''僕たちは''と
私と真理絵の間に線を引いているような言い方をする。
これには、驚いた。
森谷さんは、真理絵という水銀灯に引き付けられたりせず、
真理絵と距離を取って、話してる。