【短編】君が手を伸ばす先に
幽霊は見たいものしか見ないっていうけど、本当だったんだね。


考えてみれば違和感だらけじゃないか。

一番前の席の奴が抜け出してバレない訳ないし。


花乃、頼むから泣かないで。

ごめん。


そんな顔させてごめん。

でも、ずっと傍にいたよ。

ずっと見てた。


僕がそんな悲しい顔させてたのに、間抜けだね。


ごめん。


「花乃っ…」


呼んでも聞こえるとは思わないけど。


「いの、りっ…」


聞こえるはずがないって分かってるけど。


愛してる。


花乃がまた、空に手を伸ばした。


隣にいるのに、触れられない。


抱き締めて、涙を拭ってあげられない。


ごめんね。



君が手を伸ばす先に、僕がいられたら。



どんなに、幸せだろう。



でも、もう無理だ。


花乃、花乃。



愛してるよ。


ずっと傍に居られたなら。


でも、もう君が笑顔になる場所は。



二人では行けないから───。




だからせめて、
















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