きみの愛、ボクにください。~I LOVE YOUと伝えたい~

カット4

ケータイのブザーがなった。このブザーはたぶんメールだ。
見ると、星那(せな)ちゃんからのものだった。
俺は重たい腰を起こしてケータイを手に取った。

“先輩、なに自分からふってるんですか?バカですか?”

わりかし失礼な文。でもこの意見をずばっと言うのは彼女の欠点でもあり、とっても良いところだから、何にも言えない。

“失敬な。瀬ノ尾柚希は絶対に勧誘してみせる!”

返信の返事はすぐに返ってきた。

“先輩らしくない。そんなたかが一人の女子高生に執着するなんて先輩のクールキャラと違います。勧誘なんてしなくても、先輩の一人芝居も面白いじゃないですか。あと、瀬ノ尾先輩は柚輝です。変換ミスしてましたよ。”

らしくない

クール

一人……もう、最後までメールを読めなかった。読みたくなかった。

俺は、何時まで偽り続けなければいけないのだろう?

「…もうわかんねー。」

“…。”

なにも返さないのは流石にむねにこたえるから、それだけ送った。

“すみません。”

返信は、これだけきた。そのあと、会話は途切れてしまった。

「…愛とは何だ?恋って何だ?感情とは、一体どんなものなのだ?私は、なにも知らない。あなたと繋がったその日、私の世界はすべて崩れ去った。」

次のお芝居の台詞。俺の今、一番好きな台詞。
柚輝さんの笑顔が心の空に広く広く映し出される。…やっぱ、好きだな。

確実な恋をしたことが無いから、これが恋かどうかなんて、何一つ分からない。だけど、こう、胸がほっこりとして、すごくすごく、柔らかくなって、秋風が気持ちいい感じ。

「私の、世界の色が変わった。目が変わったんだ。見方が変わったんだ。あなたが消えると、また世界はモノクロになった。何を見ても、なーんにも感じないんだ。もしかしたら、私は、わたしは……もしもし。いま、いくからね。」

このあと、下手に退場して、私…笹木は死ぬ。でも、向こう側の世界にはあなたがいる。

…今更な感じもするけど、ちょっと暗いな。

でも俺は、こんな暗さになんて負けないよ。柚輝さん。
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