告白よりも、ときめきを
なんだ?おい、離せよな。

「いずみちゃん?離してくれるかな?書類」

こっちは急いでるんだけど。

「あの…」

「何かな?」

「…私と…ご飯に行って貰えませんか?」

上目遣いで聞いてきた。
…ま、百歩譲ろう。勇気を出して声を掛けてきた事は褒めよう。
…普通に話せないのかな…。いや、可愛く見せようとしてる努力は、買おう。と考えようか。
だが、残念でした。
俺は…女子力が高いと言った方がいいか、そんな女子は好きじゃないんだな、悪いけど。
ぶっちゃければ、君は嫌いなタイプだ。偏見かも知れないけど、裏表ありありのタイプに見えてしようがないんだ。…悪いな。

「ごめんね~。いつと言わず、誰かとご飯には行かない主義なんで。ごめんね」

ん?まだ離さないつもりか?

「では、映画は駄目ですか?」

はぁ…、中々敵も粘るな…。本気で俺狙いなのか?……あっちが駄目ならこっちを試してみるか、じゃないのか?

「ごめん、映画も無理だから」

「誰か…、好きな人が居るのですか?」

「…それは、いずみちゃんに言わないといけない事かな~?例え居ても、君には教えないよ?…好きな人は大事だからね。意味解るよね?もういい?離して貰っても」

「…解りました。でも諦めません。また誘わさせて頂きます」

ふぅ、やっと離してくれたか…。少し冷たかったかな?
でも、気も無いのに曖昧にしては、余計悪いからな。
もっと言えば、仕事、もう少し頑張ろう、な?
俺は一生懸命仕事してる子がいいけどな…。

…さて、今日は久しぶりに三人で飲みだ。
二人もいいが、たまには“同期"も交ぜろよ、な?そう言って俺が割り込んだ。
…俺、ドキドキさせるからな! 明璃。
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