HE IS A PET.


 不意にこちらを向いた瞳が、私を見つめ不安げな色に変わった。


「ごめん、俺ばっか浮かれてて……。退屈?」


「ううん、綺麗すぎてぼうっとしちゃってた。今年ももう終わるんだなーと思って」


 時間の流れをまざまざと感じる。

 今年も世の中は色々なことがあった。
 世界は刻一刻と変わっていく。

 当たり前だと思っていたことが、当たり前じゃなくなっても、段々とまた当たり前に慣れてくる。


 そうやって、目の前だけを見て生きる私たちは、エゴイストだろうか。


「今年のイルミネーション、ほとんど風力発電なんだって」

 怜がそう教えてくれた。
 それから、触れる距離にあった手を繋いできた。

「咲希さん、忘れないで」

 きゅっと手のひらを握られる。

「今、ここでこうしてること」

 まるで今夜限りで会えなくなるような言い方に、にわかな戸惑いが生まれる。

 でも、また必ず会えるとは限らない。
 この世に、絶対も当然もないのだから。


「うん、忘れないよ。絶対に」

 怜が安心するなら、私は不確かさなんていとわない。



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