HE IS A PET.


「ありがとう……もう一つ、無理言っていい? 今日だけ」

「何?」


「朝まで、一緒にいて。……咲希さんが嫌がることは、しないから」


 抱きたいわけではないと、暗に伝える怜に

「知ってる」

 と答えた。

 怜は人の嫌がることはしない。


「外泊して、戸田さんに怒られないの?」

「外泊……じゃなくて、うち来る?」

「え、戸田さんちに?」

 うちに同級生を連れ込んで追い出された前科があるくせに、よく平然と私を誘えるもんだ。
 
 眉を潜める私に、怜が淋しげに言った。


「今、独り暮らし。直哉さんがマンスリーアパート、借りてくれて」

「何で。戸田さんと住んでるんじゃないの?」

「住んでたけど、学校が遠いから。近くに借りてくれた」

「戸田さんが?」
 
 怜にかかる経費は、『飼い主である』自分が払うのだと、アズミンは言っていたのに。
 どうして戸田さんが支出するのかが、腑に落ちない。


< 117 / 413 >

この作品をシェア

pagetop