HE IS A PET.

 再度勧めると、怜は素直に従ってシャワーを浴びに行った。

 その間に着替えと少しの家事をして、それから一息ついて、真崎さんから渡されたアズミンの手紙に目を通した。


『怜にしてあげて欲しいこと』には、四つの箇条書きがあった。


①初めに生活のルールを教えること。

②怜が判断に迷っていると感じる時には、命令を下すこと。

③出来るだけ構ってあげる時間を作ること。

④一日一回はスキンシップすること。


 えっと、


①は完了。

②は了解。

③は要努力。

④のスキンシップって……何したらいいの?


 普段この部屋で決して感じることの出来ない、自分以外の気配を察知して振り返ると、シャワー上がりの怜がこざっぱりと立っていた。

 さっきまでの、ボタンダウン・シャツに細身のお洒落タイ、紺のチノパンという服装とは違う。
 大きめの白Tシャツに、ジャージのズボンという格好は、怜をますます幼く見せた。

 部活上がりの高校生男子という雰囲気だ。
 抱えてる洗面器に注目しなければ。


「それ、バスルームに置いといていいよ。いちいち持って入って、また持って出てって、面倒じゃない?」

 シャンプー類のみならず、洗面器まで家から持ってきたとは、どうりで大荷物なはずだ。
 バスタオルやドライヤーまで持ってきてる。

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