HE IS A PET.


 シュウは高校時代からよくモテた。

 天使のようなルックスと、誰とでもすぐ仲良くなれる天性の人懐っこさ。
 いつもへらへらしてて、そのくせ成績は学年トップで。
 女子が放って置くわけがなく、シュウには常に彼女がいた。長続きしなくて、相手はよく変わったけれど。

 原因はシュウの浮気にあったようだ。
 元カノたちが悪い噂を流しまくっていた頃、クラスの男子に面と向かって訊かれたことがある。


「倉橋も脩吾とヤってんの?」

「な訳ないでしょ」

 睨みつけた男子の後ろから、ひょいと顔を覗かせたのはシュウ本人で、

「そうそう。俺、サキちゃんとだけは絶対しないから」

 と断言されたことが、軽いトラウマだったりする。

 シュウと寝たいと思ったことはないけれど、より好みしないことで有名な男が、私とだけはナイと言ったのだ。
 失礼でしょうが。



 それに関する弁明は、三年後に聞くことになった。

 お互い大学生だった頃だ。
 シュウのマンションで飲んで酔い潰れて、寝て起きて気付くと、シュウの顔がすぐ眼前にあった。

 キスされるのかと咄嗟に身構えたとき、シュウは小さく息を吸って、私の上から離れた。


「あームラムラしちゃって、サキちゃん襲っちゃうとこだったぁ。怖えー」

 冗談みたいに茶化して笑うシュウに、ムッとした。


「怖えーって何よ。失礼でしょうが。そういやシュウ、私とだけは間違ってもしたくない的なこと、昔言ってたもんね」

 シュウはきょとんとしたあと、珍しく真面目な顔をして呟くように言った。


「うん。だってさぁ、ヤったら友達には戻れなくなるじゃん。俺、サキちゃんとはずっと友達でいたい。サキちゃんはさぁ、呆れながらも俺のことずっと変わらない目で見てくれる、唯一の女友達だから」

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