HE IS A PET.
テレビが喋ってくれるせいで、いつしか無言になっていた。
どうにも気まずい。
アルコールがすっかり抜けた頭で、急に意識し始める怜の性。
オトコを全く感じさせないアズミンと違って、怜は普通に男の子だ。
私とさほど変わらない背丈に華奢な骨格。
それでも細い首に突き出た喉仏や、すらりと伸びた腕にまとった慎ましい筋肉が、私とは違う性だと主張している。
だからどーした。意識するなっての。
大人の余裕を保つため、私は胸の内で唱える。
怜はペットだ。
ペットにドキドキしたりはしない。
「…………怜?」
ふと気づくと、怜は組んだ両手の輪のなかに顔を埋めて、深い呼吸を繰り返していた。
寝てしまったらしい。
「怜、寝るならベッドで寝なよ」
犬猫なら眠ったまま抱き抱えてあげられるけど、さすがに持ち上がりそうにない身体を叩いて声をかける。
怜は顔を上げて、開いた瞳を眩しそうに細めた。
「…ぁ、ごめんなさい」