HE IS A PET.

 テレビが喋ってくれるせいで、いつしか無言になっていた。

 どうにも気まずい。

 アルコールがすっかり抜けた頭で、急に意識し始める怜の性。
 オトコを全く感じさせないアズミンと違って、怜は普通に男の子だ。

 私とさほど変わらない背丈に華奢な骨格。
 それでも細い首に突き出た喉仏や、すらりと伸びた腕にまとった慎ましい筋肉が、私とは違う性だと主張している。

 だからどーした。意識するなっての。
 大人の余裕を保つため、私は胸の内で唱える。

 怜はペットだ。
 ペットにドキドキしたりはしない。



「…………怜?」

 ふと気づくと、怜は組んだ両手の輪のなかに顔を埋めて、深い呼吸を繰り返していた。

 寝てしまったらしい。


「怜、寝るならベッドで寝なよ」

犬猫なら眠ったまま抱き抱えてあげられるけど、さすがに持ち上がりそうにない身体を叩いて声をかける。
 怜は顔を上げて、開いた瞳を眩しそうに細めた。


「…ぁ、ごめんなさい」



< 14 / 413 >

この作品をシェア

pagetop