HE IS A PET.


「はい、温泉まんじゅう。これは、猫の舌。で、あつおボールペンに、あつおメモ帳、あつおストラップ……」


 紙袋から包みを取り出して、次々とテーブルに並べていくアズミンは

「あつおばっかじゃんって突っ込んでよねぇ」

 と言って、最後にあつおぬいぐるみを置いた。

 あつおばっかじゃん。てかお土産多すぎ。
 とは思ったけれど、それよりも突っ込みたいことがある。

 何でここにアズミンがいるの?


「お土産を渡したいから会いたい」と電話して来たのは怜だ。
 アズミンも一緒だなんて、一言も聞いていなかった。

 かといって、満面の笑みでお土産をくれる相手に、何でいるのとも言えず、

「ありがとう。こんなに沢山……あつお」

 御礼を言うと、アズミンは

「どういたしまして」

 とうやうやしく答えた。

「イヴはごめんねー。これからヤろうかって時に、お邪魔しちゃったみたいでぇ。あん時はぐでんぐでんで、咲希がいたの分かんなかったのよぉ」

 泥酔してて、確かにそんな感じだったけど。酔ってなくても、アズミンには現状把握能力が欠けていると思う。
 バッハの調べが流れる静粛としたレストランで、声高らかに「ヤる」とか言っちゃダメだから。


「ああ、別に邪魔されるほどの予定はなかったから。で、体調は? もうすっかりいいの?」


「おかげさまで。もうすっかりいいわよー。温泉入って、しっとり美人度が上がってなぁい?」

 んふふと笑って、テーブルに来たウェイターに流し目を送るアズミンと、他人のフリしたいけど無理だよね。同席者だし。

 そういう意味で尊敬に値する怜の方をチラリ見ると、優しい顔をしてアズミンを見ていた。

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