HE IS A PET.


「怜に触られると……熱くなる。怜が欲しくなって、困るから」


 白状した途端、嘘になる。もう触られていないのに、顔から火が出そうなほど熱い。

 怜に抱き寄せられた。


「咲希さん……それ本当?」

「嘘ついてどうすん…」

 言葉の途中で、そっと頬を包みこむように添えられた手に、焦った。


 切なく細められた瞳に繊細な睫毛が影を落とす。
 ゆっくりと近づく唇に、私も目を閉じた。

 唇に一瞬だけ触れた柔らかい感触を追いすがり目を開けると、また近づいてきて、今度は噛みつくようにキスをされた。

 上唇を甘噛みして下唇をぺろりと舐めたあと、隙間に入り込んできた舌は、私の口内に生々しい感触を残して出ていく。

 乱れた呼吸を交わし合って、見つめ合う。
 
 頬に添えられていた怜の片手がすっと下がり、もう片手と共同作業で私のコートのボタンを、一つ外した。


「脱いで、吊っとく? シワになっちゃうといけないから……」

 二つ三つと器用にボタンを外していく怜の冷静さに、慌てた。


「ちょっ、ちょっと待っ……待って!」


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