HE IS A PET.

 全てのボタンを外し終え、前開したコートの襟ぐりに両手をかけていた怜は、ぴたりと静止して、不思議そうに私を見た。


「怜が欲しくなるっていうのは……今すぐしたいとかそーいう意味じゃなくて、ね」

 違う、ウソだ。そういう意味でも怜が欲しい。このまま脱がされて流されたい。

 だけど今日一晩身体を繋げたところで、明日になればアズミンの元に帰ってしまう怜の、全部が欲しくて困ってる。

「うん、大丈夫。分かってる。咲希さんが嫌なことは、したくない……のに。ごめん」

 私から離れた形のいい指先を、視線で追った。

「何で、怜が謝るの?」 

 自分でも驚くほど弱々しい声が出た。

「誘われたら応じて、拒否されたら引いて。お利口さんじゃん、怜は。怒ってもいいんだよ。俺をからかって、面白いのかって」


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