HE IS A PET.


 シュウのへらりとした柔らかい笑顔に、いつも気が抜ける。
 この能天気さに、天使のような麗しさに、見とれているのもいいかもしれない。

 そんな風に一瞬妥協しそうになって、はっとした。

「これ、アズミンとこで買ったんだよね?」

「うん」

 それが何、と屈託なく返すシュウに溜め息を返す。
 住所未定のシュウが通販で買い物したということは、うちの住所と私の名前を使ったに違いない。

『ワンにゃんコスプレ』を色チで二セットもご購入って……

「バレたら、すっごく恥ずかしいんですけど」

「タツキに?」

 も、だけど。

 いまAZMIXで商品管理をしているのは、怜のはず。
 女の子モデルを引退して、AZMIXの社員としての仕事を本格的に始めたのだと、アズミンから聞いた。

 怜がAZMIXでモデルをしていたのは、アズミンの個人的趣味によるところが大きく、怜本人はスポットライトを浴びるような華やかな位置は苦手だったのだ。

『不向きなことを、健気にこなそうとしている忠誠心萌え』だと言っていたアズミンも、怜が二十歳になったら、さすがに女の子モデルは辞めさせてあげるつもりだったらしい。

 戸田さんとのことがあって、その引退が少し早まったようだ。

 あのポスターモデルの仕事は、怜の素性を一切晒さないことを条件に、引退記念として引き受けたらしい。


< 192 / 413 >

この作品をシェア

pagetop