HE IS A PET.


 散らかっているから見せられないと魔女が言い張っていた寝室は、落ち着いたグリーンで統一された、モデルルームのように整った空間だった。

 美しいドレープが波打つレースカーテンから、射し込む太陽光は柔らかく、窓際の観葉植物に静かに影を落とす。
 その影が伸びた先には、若草色の清廉なシーツが張られたベッドがあった。

 そのベッドの上だけが、ひどく乱れていた。

 手足のみならず、目と耳と口の自由も奪われて、緊縛と快楽に耐える怜の姿があった。


「……怜っ」

 呼んでもその耳には届かない。駆け寄って、ヘッドフォンを外した。

「怜、もう大丈夫だよ」

 アイマスクを外すと、涙を溜めた虚ろな瞳が、私を捉えてすがるような色に変わる。

 何度も瞬きをして訴える言い分を、すぐに聞いてあげたいけれど。
 口かせは作りが凝っていて、外すのに手間取る。

 外すと、それまで口内に収まっていたゴルフボールのような球と共に、とろりとした唾液が伝い落ちた。

「はぁ…っ」

 怜の第一声は声にならず、苦しげな甘い吐息だった。

「待って。すぐ、全部外してあげるから」

 次は両手を縛っている拘束具だ。
 怜は大きく頭を左右に振った。

 言葉にならない喘ぎ声と、切羽詰まった瞳と揺れる腰で、事の優先順位を訴えてくる。
 先に外してほしいのは、股間に取り付けられた機械なのだと。


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