HE IS A PET.
本当は昨日の優等生ルックの方が似合っていたように思うけれど、そう言って、着替えられるのも憂鬱な気がした。
怜の意思を見つけたくて、そっと手を伸ばした。
「ピアスは、アズミンの好み? もしかして、アズミンに開けられたの?」
ざっと数えて見ても、片耳に七つはあるピアスホール。
怜は小さく首を横に振った。
「アズミは、そんなことはしない。俺が体に傷をつけるの、すごく嫌うから」
「そっか……。時計は? 昨日、寝る時も着けてたよね。怜のお気に入り?」
真四角いフォルムに真っ黒い樹脂バンド、文字盤が蛍光ピンクのスポーツウォッチは、GショックMINIだ。
メンズだと華奢な手首に大きすぎるんだろう。
MINIのユニセックスなデザインが、怜によく似合っている。
「あれっ? 時間、おかしくない?」
デザインばかりに目を留めていて、文字盤の時刻が違っていることにようやく気付いた私に、怜は曖昧に笑った。
「うん、パリの時間に設定してるから。日本より、八時間早い」
『どうして腕時計をパリの時間に合わせる必要があるのか』なんて、訊くまでもない。
「ヨーロッパ周遊って言ってたけど、パリにいるの?」
「分かんないけど……何となくパリ辺りかなって。近くの国で時差はあっても、一時間くらいだろうし」
「そうだね」
相槌を打つと同時に怜の手首を解放し、重力に委ねた。
「健気だね、怜は。そんなに好きなら、無理言ってでもついてけば良かったのに」