HE IS A PET.
「五万くらいすぐ無くなるいうんは、分かっとったで。無くなるまでおって、無くなったら帰ったらええわぁ思うとったら。アホやから、無一文になってしもうてん。帰りの交通費も無くなってしもうてな。食う金も無あなって、途方に暮れとったら。ケバいネエちゃんが、ハンバーガー食わせてくれたんが最初やったな」
施しを受ける術を覚えた梶少年は、公園やホームで寝泊りしながら、野良猫のように誰彼に食べさせてもらいながら生き繋いでいたらしい。
「あれはあれで、結構楽しかったわ。日々サバイバル感溢れとってな。でもな、やっぱ疲れてきてん。何も食われへん日もあったし、季節も暑うなってきてなあ。これ、真夏になったら、死ぬんちゃうか思うて」
でもお金がない。
「死にかけとったら、公園で親切そうなおっさんに声かけられてん。おっさん言うても、まあ三十くらいやけどな。親切に話聞いてくれて、飯食わせてくれて、ほなさいならか思うたら、世の中そんな甘うなかってん。べろべろに酔わされて、掘られてん。ほんま最悪やわ」
でもな、と梶が言葉を続けた。
「二十万もくれたんや。びっくりしたわ」
その二十万でどうして田舎に帰らなかったのかは、自分でもよう分からんと梶は言った。
「帰りたぁないんやろな。帰ったとこで何もあらへんし。こっちおったとこで、何もないねんけどな 。まあ、お金が無くなったら考えよう思うねんけど」