HE IS A PET.
「何やその関西弁。ほんま、おもろいお姫はんやな。ホストクラブとか、行ったりするん? 意外やねんな」
「行かへんよ。行きたいと思ったこともないし。お金もったいないじゃん。お金払って、もてはやされても嬉しくない」
「そやなあ。でもなあ、そう思わへん人間もようけおるんやで。おってもらわな、仕事にならへん人間もようけおるしな」
曖昧な笑みを浮かべる梶に、チトセたちの仕事のことだとピンときた。
『幸誠企画』は、デリヘル、ピンサロ、キャバクラなどの風俗営業をシノギとしている。
お金を払ってでも、エッチなことをしたいと望むお客さんがいてナンボ、の世界だ。
私の知らない世界。
でも確実に、同じ世界に存在する世界。
怜と知り合わなければ、チトセとも出会わなかっただろうし、こうして梶と居合わせることもなかっただろう。
人の縁って本当に不思議だ。
「俺なあ、ウリやってた言うたやん。あれ、買う方も悪いで」
私がジュースを飲み終えるまで、背面のコンクリートにもたれて待っていた梶が、ぽつりと口を開いた。
「俺、十六で家出してこっち来てん。田舎の高校、入ってソッコーで辞めたってな。退屈すぎて、死にそうやって。東京さぁ来たら、まあ何やおもろいことがあるやろ思うて。有り金、五万ちょっと持って」
この後に続くカミングアウトの内容が予想できるだけに、ただ耳を傾けることしかできない私を、ちらりと梶が見た。