HE IS A PET.


 マンションに帰ると、怜はいなかった。


 帰る前に一度連絡を入れようと思って、初めて気付いた。怜の電話番号を知らない。

 そもそも、怜がスマホを持っているのかどうかも知らない。

 イマドキ、持っているだろうとは思うけど。
 怜がスマホを弄っている姿は一度も記憶にない。


 とりあえず、マンションの留守電にメッセージを入れておいた。
 電話を取ることはなくても、その場にいれば聞いているはずだと思ったからだ。


 帰宅して、ピカピカと点滅する留守電のランプを見て、胸がざわついた。


 積んであった段ボール箱の中身はきちんと片付けられて、箱は綺麗に潰されて束ねられている。

『荷物を整理した』という痕跡だけを残して、怜はいなくなっていた。


 まあ、そのうち戻って来るか。

 十九歳男子が夕方六時に家にいないからといって、大騒ぎするのも変な話だ。
 どんだけ過保護ですか。

 きっと、友達とご飯でも食べに行ったんだろう。
 怜の友達……どんな感じなのか、まったく想像できない。

 ちゃんと友達いるのかな?
 怜ってちょっと変わってるし。受け身な性格だから、学校で苛められたりしないのかな……

 心配し始めたらキリがなくなってきた。
 私って、過保護な親になりそうなタイプ?


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