HE IS A PET.
なにこれなにこれなにこれ。
「……いつ、こんなの」
可能性があるとしたら、今日しかない。寝てる間に、撮られたとしか。
だけどいくら爆睡してたって、こんなことされたら絶対に起きる。
それに爆睡した記憶もない。テレビを見ながらうたた寝したのは、ほんの……
ばっと時計を見た。
五時……朝だ。嘘、夜が明けてる。
スマホの画像に視線を戻す。
ここじゃないどこかだ、布団があるどこかの部屋。
運ばれても目を覚まさないほど、爆睡していたということか。
「睡眠薬……?」
「人聞きのわりぃこと言うなよ。あんたがねだったんだろ。抱いてくれって」
「デタラメ言わないでよ。そんなこと絶対に言ってない。薬で眠らせてヤるなんて、強姦じゃん」
言葉にすると生々しいけれど、身体に実感がないせいか、どうもピンとこない。
チトセに抱かれた?
「わりぃな、ヤってねえよ。俺は好きでもねえ女は抱かねえ。アイツとは違って」
いちいち怜のことを引き合いに出すチトセに、いちいちムカつく。
偉そうなことをいっても、睡眠薬を使って服を脱がせるなんて、紛れもなく犯罪だ。
「けどまあ、これ見た奴は、確実にヤってると思うだろうな。俺とあんたはこういう関係で、あんたの世界じゃ俺は歓迎されねえ世界の人間だ。それを忘れんな」
遠回しな言い回しに眉をしかめた。
「それって、脅し?」
「ああ。一回しか言わねえから、よく聞けよ。怜のことはもう忘れろ。関わるな。尻拭いは安住に任せて、あんたは普通の生活に戻ればいい。あんたが余計な真似をするなら、俺はこの写真を悪用する。あんたを抱いてる男の素性は刺青で判る。行成の家紋が入っているからな」