HE IS A PET.


「社長って呼ばれるより、そっちの方がいいわぁ。会社とは無関係の商談だもの」

「無関係? あんた個人じゃ無理だろ」

 チトセの表情が曇る。

 アズミンはあくまでも晴れやかに言い切った。

「AZMIXには手出しさせない。怜は、あたしが個人的に飼ってるペットよ。自分一人で責任を持てないなら、最初から飼わないわよ」

「なるほど、飼い主の鑑だな。口だけじゃねえってとこ見せてくれよな」

「ええ。口だけじゃ物足りないわよねぇ」

 んふふとエロい笑みを浮かべて、アズミンは私を振り返った。

「てことで悪いけど、咲希ぃ。あたしたち今からしっぽりと一戦交えるからぁ。下で待たせてるタクシーに乗って、先に帰っててちょうだい」

 え?

「私も……」

「嫌よぉ、3Pなんて。これ以上、巻き込みたくないの。帰ったら全部忘れて、明日から普通に生活しなさい。また落ち着いたら連絡するわねぇ、ご飯でも行きましょう」

 有無を言わせない笑顔で、私と一線を引こうとするアズミンに、不安になる。

「ねえ、商談って何の話? 怜をどうにかするの?」

 AVデビューさせるって話、まさか進める気じゃないよね?


< 286 / 413 >

この作品をシェア

pagetop