HE IS A PET.

「お休みですか、それは丁度良かった。すみません。ああ、とりあえず、バイキングのサラダとスープ取って来ましょうか。食べながら、話しましょう」

 眉を下げ、席を立った真崎さんの後ろ姿は、哀愁が漂うほどに元気がない。

 アズミンのことで相談……嫌な予感しかしない。

 テーブルに並んだ、色とりどりの野菜。
 健康的な朝食に手を合わせ、冴えない顔色の真崎さんは重い溜め息を吐いた。

「安住に、社長を辞めると言われました。昨日、入っていたスケジュールを勝手にキャンセルして、何をしていたのかと思ったら。夜に事務所に帰って来るなり、そんなことを言い出して」

 アズミンの思いつきに振り回されることの多い真崎さんは、動じずに対応したらしい。

「遊びたいんなら、三日休みあげますからってたしなめたんです。安住は、プライベートの悩みは私にはあまり話しませんから、きっと怜のことで何かあったんだろうなと思いました。怜は、先週末から会社を休んでましたから」

 社長辞職を願い出たアズミンは、頑としてその希望を譲らなかったらしい。


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