HE IS A PET.

「もし……アズミンが社長を辞めたい理由に、怜が関係しているとしたら。怜を恨みますか?」

 不安になって尋ねると、真崎さんは微笑して首を横に振った。

「いいえ。私は、怜が好きです。優しくて幼くて、弱くて傷つきやすい、あの子が。扱いにくくて難しい子だということは、始めから分かっていましたから。安住も心得ていたはずです。あの子が低いところに堕ちるときには、変わらない高さからただ手を伸ばしていることが大事なんです。同じ位置まで堕ちると、自分が必死になって、救えないから」

 真崎さんの言いたいことは、難しいけれど何となく分かる。

 アズミンのリーチ私より長い。引き上げる力だって、私より強い。
 その手は、いつだって怜に向けて伸ばされているんだろう。


「何があったのかは知りませんが、怜のせいで社長を辞めるなんて、許しません。怜のために続けるべきだと、安住に進言しました」

「そしたら?」

「ヒステリー起こされましたよ。あたしがこんなに頭下げてんのに、何よこの分からず屋、ハゲチャビン! 社長のあたしの命令を聞けない奴なんか、クビよクビ! って。それはもう喚き散らして」

 それはなんてお気の毒な。
 その人、ほんとに引き留める価値のある社長さん?

 ユー、もう社長やっちゃいなよ。


「で?」

「いいですよ。私をクビにしたら、社長は貴方しかいませんよねって言ったら、ますます子供みたいに怒って」


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