HE IS A PET.


 「あなたが飼っていた犬が、とんでもない悪さをしたもんでね。捕まえて、お仕置きさせてもらったよ」

 嘘、違う、怜が、嘘だ、嘘だ嘘だ嫌だ……

 ぐらりと胃がひっくり返るような感覚と、押し潰されるほどの動悸に、息が、できない。


「てっめえ、ふざけんなよ! なに勝手な真似してんだよっ! アイツは、まだガキなんだぞ!?」

 新に掴みかかる勢いで立ち上がったチトセは、新の部下二人に取り抑えられる。

「お前とそう変わらないだろう。ガキならガキらしくしてりゃあ良いものを。大それた真似をするから、痛い目に遭うんだよ。それを教えてやるのが、僕のような『悪い大人』の仕事だ。お前は、まだまだ甘い子供だよ。千歳」

 新が言った。

「翠幸会に下手を売った奴には、身をもって償ってもらう。金で許すなんて、僕が許さない。まあ、そう怒るなよ。妹の遺骨は取り戻してやったし、お前の顔もちゃんと立ててやる。言っただろう、手柄を横取りしたいわけじゃない」

 新の視線が動く。

「そういうわけで、安住さん。左手小指の第一関節から上はケジメとして頂きましたが、それ以外はどうしますか。千歳が提示した金額でお譲りしてもいいし、会の方で引き取らせてもらってもいい。どちらにしても、それで全て清算としましょう」

 私もアズミンを見た。


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