HE IS A PET.
「遅刻しちゃうよ」


 行儀の良い寝顔を覗きこみ、肩を揺すると、怜は艶かしく唸って、薄く瞳を開けた。
 だけどぼうっとして、まだ夢の中にいるみたいだ。

 キスすれば、はっきり目覚めるかな。前みたいに。
 そう思って怜に寄せた唇は、平たいものでばっと塞がれた。


「……っ!?」

 私がびっくりすると、怜は慌てて手をどけて上体を起こした。


「ごっ、ごめんなさい。も、起きたから、大丈夫」


「大丈夫って、何が?」


 あからさまにキスを嫌がった怜に、ちょっとムッとした。

 おやすみのキスはねだるくせに、おはようのキスはNGだとか。


「……えっと、急いで準備したら、間に合うと思うから…大丈夫」


 私を怒らせまいと選び選び伝えられる言葉が、逆に癪に障る。


「そ、なら良かった。遅刻なんかされると、私の責任になっちゃうから」

 何で怒ってんだろ、私。
 これじゃ、よっぽど怜にキスしたかったみたいじゃないか。



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