HE IS A PET.
「ペット預かってるんです、友達の。旅行の間」


「ペット? それで早く帰ってたんだ」


「忙しい時期に、よくそんなめんどくせーこと引き受けたな」


「長尾さんと違って動物大好きなんです、私。ミチジローさん目指してますから」


「嘘こけ。お前、水族館行ったとき、食えるか食えないかの基準で鑑賞してただろうが」


「えっ、長尾くんと倉橋さん水族館デートしたの? いつの間に」


「下関に出張したとき、です。デートじゃなくて、仕事の一環の観光で」


「魚群見ては『お腹減った』連発してたよな。友達のペット、食うなよ? 犬?猫?」

 ヒト。
 と言えるわけはなく、無難に「犬」と答えた。


 例えるなら、怜は室内犬だと思った。
 一人で出歩くことを好まず、家の中で私の側にいるのが好きだ。


 撫でると気持ち良さそうに目を閉じて、誉めれば嬉々とした笑顔を見せる。
 叱ればしゅんとしてうなだれる。


 そして、毎日私の帰りを首を長くして待っている。
 だから、少しでも早く帰りたくなる。


「食うなよ」なんて釘を刺されて、苦笑した。

 食べてもいーわよというアズミンの言葉を思い出して。


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