HE IS A PET.


 ショボくれてなんか、ないやい。

 もう二十六だし、おめでたくもない。
 年々、友達が減ることにも慣れた。

 断じて強がりじゃない、のに。


「おめでとーさん、ほら食え」

 デスクに置かれたのは、近くにある有名ケーキ店の箱。

「え……わざわざ、買って来てくれたんですか?」

 目を丸くして、長尾さんを見上げると

「わざわざでもねーよ。すぐそこだろ」

 にかっと笑われた。


「別に、気を遣って頂かなくても良かったんですけど」

「おっ前、ほんと可愛げねーなあ。こーいうもんは素直に『ありがとう』だろうが」

 嫌そうに言って長尾さんが箱を開くと、小さいけれどボリューミーなホールケーキが登場する。

 盛り沢山のフルーツと、たっぷり生クリーム。真ん中に飾られたチョコプレートには、

『Happy Birthday to Saki』

 名前入りが、恥ずかしい。
 長尾さんがこれを注文した場面を想像すると、尚更。


「あ……りがとうございます。すごく、嬉しいです」

 さらりとスマートにお礼を述べるつもりが、照れが入ってしまった。

「いーえ、どういたしまして。よく言えました。さすが、一つ歳食っただけあるな」

「むぅ、馬鹿にして」

「むくれんな。早く食え、溶けるぞ」



< 384 / 413 >

この作品をシェア

pagetop