HE IS A PET.


 ケーキを食べて、仕事に区切りを付ける。
 うちに帰ると、実家から電話がかかってきた。


「誕生日おめでとう」と「お盆休みは帰って来れる?」という、例年通りの内容だったけれど。

 今年は一言違っていた。

「彼氏も連れて来なさいよ。お父さんとお兄ちゃんにも紹介しなさい、千歳くん」


 無理だよ、お母ちゃん。千歳くんって、あの偽チトセだよね?
 あの好青年は、この世には存在しないのです。

 と言える訳もなく、適当に返事を濁す。
 またいつか折を見て、振られたとカミングアウトすればいっか。

 ぬか喜びさせてごめんね。

「三つも下って聞いて、お父さんが心配してねえ。しっかりした子だから大丈夫よって、フォローしといたから」

 確かに、チトセはしっかりしてるし、年下だと思えないくらい、上からだ。

 三つ年下で心配なら、怜なんて六つ……いや、誕生日来ちゃったから七つも下だ。


「でも、まだ二十三ってことはよ、結婚とかはまだまだ先に考えてるわよねえ? そこんとこ、どうなのかしら」

 お母様、それは杞憂です。ああ、いつカミングアウトしよう。

 電話を切って、ぐったりした。

 あああ、結婚結婚って。女の幸せって、結局そこなのか?


『幸せにしてもらってね』

 ふと守田さんの顔がよぎった。

 私の幸せって、何だろう?

 怜に求めるものじゃないことだけは、分かる。


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