HE IS A PET.


 長かった梅雨もいつの間にか明けていて、気付けばもう八月だ。
 ジージーと蝉が鳴き喚き、ジリジリと太陽が照りつける。ああ夏だ、暑い。

 今年のお盆休みは、五日連休になった。

 初日は自宅の掃除に費やして、二日目は買い物に出て浪費した。
 三日目、実家に帰りご先祖供養をして、そそくさと退散した。ご先祖様には申し訳ないけれど、実家の居心地は悪い。

 四日目は大雨だった。テレビを観ながら、家でゴロゴロ。

 そーいや、二十四時間テレビの時期か。黄色いTシャツの告知が、やけに目につく。

 
 五日目、悩みに悩んでやっぱり行こうと決断する。

 お花、ハサミ、ロウソク、マッチ、お線香、ペットボトルの飲料水を用意した。
 生前彼女が好きだったものを、私は知らない。ただ一つを除いては。

 
 悠里の眠る墓地は、東京郊外の高台にあった。思った以上に広くて、新しい。

 噂によると、墓地の建設時には翠幸会による地上げがあったらしい。
 反対派リーダーが、消息知れずになったらしい。

 そんな背景など感じさせない、綺麗に区画整備された高級墓地を見渡した。
 行成家の墓は、きっと一番高い場所に建っているのだろう。

 管理事務所で訊くまでもないかな。出来るだけひっそりと参りたいし。


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