HE IS A PET.
「駄目、ここで大人しく待ってて」
そう言うと、しゅんとした。
「八時半には帰るから、一緒にご飯食べに行こう」
まだしゅんとしてる。
「仕事関係だからさ、会社の上司も来るし」
どう考えても、ペット同伴は無理だ。大体、生前に一度も面識のない故人のお通夜に、
「何で行きたいの?」
「俺も……手、合わせたい。その人に」
小さな声で途切れ途切れ言葉を紡ぐ怜に、なぜだか胸がきゅっと痛んだ。
「知らない人なのに?」
「咲希さんがお世話になった人、でしょ? だから、知らない人じゃない」
それ、いま教えたから知ったんでしょうが。
やっぱり変わってる、この子。
「お世話になってる私の、お世話になった人だから?」
コクリと頷く怜の、柔らかい髪に触れた。
「怜って、ほんとに……」
何だろう。
子供みたい。母性本能をくすぐる。苛々する。放っとけない。
でも、私のものじゃない。
「可愛い、いい子。大好き。だからお利口に待ってて」
笑って頭を撫でると、怜は複雑な顔をしたけれど素直に頷いた。