HE IS A PET.


「安住から、聞いてませんか? 怜のこと」


「聞いてます、聞いてます。でも、私が写真見たのは女の子だったから」

 いま目の前にいる『怜』はどう見ても男の子だ。

 真崎さんは困ったように笑って、額をぽりぽり掻いた。

「サイトの写真見せたのか、参ったなあ……怜は男です。うちで女の子モデルやってますけど」

 男なのに、女の子モデル? 意味が分かんない。

 この子があの子だなんて、にわかに信じがたい。
 あの子はどう見ても女の子だったし、この子はどう見ても男の子だ。
 
 でも言われて見れば、確かに同一人物かもしれない。

 茶色くて柔らかそうな髪の毛。透明感のある白い肌。薄い一重瞼。
 不安げにこちらを窺う表情は、カメラを見つめていた表情に似ている。

 弱くて、守られるべき愛玩動物なのだと訴えかけてくるそれは、まさしくペットが放つ愛らしさだ。


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