HE IS A PET.
「一度、日本で暮らしてみたかったんだって。だから、しばらく一緒に住むことにしたの」
アズミンの言葉に驚いた。
「一緒に住むって……怜は?」
「勿論、一緒に住んでるわよ」
さも当然といった口調でアズミンが言った。
「エリックも怜のこと気に入ってくれて、可愛いがってるのよ」
『恋は盲目』状態のアズミン視点なんて、あてになるわけない。
「怜は?」
ずっと居心地悪そうにしてアズミンを見ていた怜に尋ねた。
「嫌でしょ? 突然知らない外国人が転がり込んで来て、同居なんて」
怜が小さく首を横に振ったのを見て、アズミンが笑った。
「ちょっと人見知りはしてるけど、すぐに慣れるわよねぇ。あ、そうそう。咲希にお土産。怜のこと、ほんとにありがとうねー」
テーブル脇に置いてある大きな紙袋から、取り出されたシャネルのショッピングバッグが、目の前に置かれる。
続けて、ワイン、チーズ、ソーセージセット、死海のバスソルト、エッフェル塔柄の電卓など、テーブルの上はヨーロッパで満載になる。