HE IS A PET.

「これ、いーでしょ。仕事で使ってよ」

 電卓を手に取り、アズミンがにこりと笑う。
 さすがに機能性がどうだのと無粋なことは言えない。

「ありがとう、すごく可愛い。こんなに沢山。貰っちゃっていーの?」

「いーに決まってるでしょ。咲希にあげたくて、買って帰ったんだから」


 結局アズミンのペースに乗せられて、昼下がりのランチを囲んだ。
 アズミンの旅行話は半分はノロケ話のようなもので、二人のいちゃつきようは目も当てられなかった。

 貼り付いたような笑顔でじっとそれを見ている怜が、ひどく不憫に思えた。



「ちょっとアズミン」

 化粧直しにと席を立ったアズミンの後を追って、ここぞとばかりに言ってやる。


「怜のことちゃんと考えてる? エリックしか見てないみたいなあの態度、何なの。『怜は病的な淋しがり屋だから、構ってやって』って言ってたの、アズミンでしょ」

 鏡に向かってヌーディーピンクの口紅を引き直し、アズミンは魅惑の微笑みを映してみせる。

「ちゃんと構ってあげてるわよー。今まで通り、一緒のベッドで寝てるし、おやすみのキスも毎晩してるし。抜いてもあげてるわよ」

 そんなことまで聞いてない。


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