HE IS A PET.

 私の感情を逆撫でするように、アズミンはふふっと笑った。


「恋人とペット、どっちが大事なんて比べる次元じゃないでしょ。怜はあたしのペットだもの、あたしの好きにして構わないでしょ?」

「ペットだから好きに扱っていいなんて、虐待に通ずる思想だと思うけど?」

「やだ、咲希ったら物騒ねー。言ったでしょ。怜は全部、好きで受け入れてるのよ」


「そんなこと……」

 ない。と断言できるほど、私と怜の付き合いは深くない。
 私より遥かに長い期間怜を飼ってきたアズミンの言葉には、強い響きがある。

「可愛いがりたいときには、いつでも貸したげるから。言って」

 アズミンは私を慰めるように言った。



「怜」


 食事を終え会計を済ませ、連れだって店を出たアズミンとエリックの後に、続いて出ようとした怜を小さく呼び止めた。

 薄茶色の瞳が私を捉える。


「元気? ちゃんとご飯食べて、いっぱい寝て、学校行ってる?」


 笑顔を浮かべ頷いてみせるけれど、少し会わない間にやつれた印象がある。


「もしなんか困ったことあったら電話して。番号分かるよね?」


 怜は頷き、

「大丈夫」

 と答えて薄く微笑んだ。



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