HE IS A PET.
案の定、よく似合っていた。
私のトレーナーはブルーグレーで、怜のはサーモンピンク。手足の袖丈が少し短いけれど、まあ変ではない。
キャラクターのクマが、ほとんど寝ぼけながら釣りをしている。その寝ぼけ加減が怜に似ているなと思って、ちょっと笑えた。
「何で笑ったの」
湯上がりで頬を紅潮させた怜が、不思議そうに尋ねた。その表情の健全さに、些か安堵する。
だけど次の瞬間、見つけてしまったものに、ギクリとした。
怜の首元に、小さく咲いた赤い薔薇の花。
痛いほど吸い上げられたのだと分かるそれは、キスマークというよりは、鬱血としか呼べないほど鮮やかな毒々しさだ。
着替える前は、パーカーのフード部分のもたつきで隠れていたんだろう。
私の冷ややかな視線に気付いた怜が、はっとしたように片手で首元を覆った。
怯えるような、ひどく罰が悪い顔をする。
ゆっくりと手を伸ばし、頑なな怜の手をやんわりと剥がした。
まじまじと見た。誰のものとも知れない痕跡を。
「痛そうだね」
そっと指先で触れ薔薇の花弁をなぞると、怜は眉をしかめた。
痛さか、くすぐったさか。耐えるような表情がなんとも扇情的だ。
吸い寄せられるようにして、怜の白い首筋に顔を寄せた。
逃げようとする身体に手を添え、唇を当てた箇所をきゅっと強く吸い上げる。
新しい薔薇が一輪、そこに咲いた。