嘘から始まる運命の恋
第二章 嘘の始まり
 翌日の土曜日、午後八時開始のライブに間に合うよう、私は真由里が快に指定されたというライブハウスに向かった。快の顔はイマイチよくわからないのだけど、真由里は『大丈夫、快の方が見つけてくれるって。だって、今のお姉ちゃん、私とそっくりだもん』と自信満々だった。

 電車の窓ガラスに映る私の姿は、たしかに真由里とよく似ている。午前中に行きつけの美容院に行って、暗めのマロンブラウンだった私の髪を少し明るい色にしてもらった。まだ真由里のミルクティブラウンには遠いけど、お堅い事務職という仕事柄、この色が限界だ。

 けれど、真由里の施してくれたメイクとヘアアイロンで作ったカールのおかげで、顔の雰囲気は普段の私からは想像もつかないほど華やかに見える。しかも、いつも着ているようなスーツや無難なワンピースではなく、真由里のブラックのミニスカートに、ホワイトのシフォンブラウス、体のラインのわかる同色のミニ寸ジャケットを着ているのだ。暗いライブハウスでなら、快も騙されてくれるだろう。いや、騙されてほしい。

 自信半分、不安半分でライブハウスに着いた。入口でスマホの電子チケットをかざして中に入る。
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