嘘から始まる運命の恋
 圭が小さく喉を鳴らして続ける。

「キミのことが好きなんだ」

 その言葉がうれしくて、私の体がまた震えそうになる。でも、今度はおかしいからじゃなくて、うれしいからだ。目にじわじわと熱いものが浮かんで、胸がいっぱいになる。

「わた、私も……圭のことが好き」
「また震えてる」

 圭が言って、そっと私の肩に手をのせた。

「でも、今度はうれしいからよ」

 圭の手が背中に回され、彼の方に引き寄せられた。服を着たまま、彼の腕の中にいることがおかしな感じで、また笑ってしまいそうになる。

「いろいろ順番がおかしかったけど、高原真由奈さん、俺と――長岡圭と――付き合ってください」
「はい」
「真由奈って呼んでいい? それともマユがいい?」

 圭が顔を覗き込もうとしているのが、気配でわかった。けれど、うれしくてだらしなく緩んだ顔を見せまいと、私は彼のシャツの胸に頬を押しつけた。

「真由里以外ならなんでも」
「じゃあ特別な名前で呼んでもいい?」
「と、特別なって?」
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