プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
決勝の対戦校は、うちと同じ公立だけど、一度甲子園出場経験がある。

だから、油断はできないけど、勝てなくもないんじゃない?うん、上手くいきすぎて逆に怖いけど、なんか勝てるような気がしてきた。

なんてったって、うちにはスーパーエースのみのるサマがいるし?


「そろそろ、上行ってるね」

「うん、またあとで」


公式戦のベンチに入れるマネージャーは一人まで。
そろそろ応援席に移動するという理穂を、もう甲子園出場が決まったかのように笑顔で送り出す。


「替えのメガネとか、予備のコンタクトとかないのかよっ!?」


10人しかいない出来立てのチームが甲子園出場を決めたって、なかなかドラマチックなんじゃない?

甲子園行けるってことは、あたしは今日一輝くんと......。


「ないよ。今日はコンタクト忘れたから、このメガネしかなかったんだ」

「ちょっと。何騒いでんの?」


ひとり乙女な妄想に浸ってる最中に、大声で騒いでくれるから思考が中断されてしまった。


仕方なく敦士とみのるを中心に集まっているみんなの輪の中に入ると、敦士が手に持っているのは、レンズが粉々になったメガネ。


「ああ......、みのるのメガネが壊れたんだよ」

「さっきコンタクトに付け替えようとしたら、うっかり踏んじゃって。しかもコンタクトも忘れたみたいなんだよね」


完全にテンパっている敦士に、眉を八の字にして困り顔のみのる。


「ふーん......って、ええっ!?どうすんのよっ?」


たしか、みのるってメガネないとほとんど見えないんじゃ......。




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