プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「悪いけど、今日は誰か代わりにピッチャーやってくれる?」


内心動揺してるのか分からないけど、みのるは意外と落ち着いた様子でうつむいたまま、これからどうすべきかをみんなに提案した。


「誰がやるんだよ?誰かピッチャーやりたいやつ。いるか?」


敦士の言葉に、いっせいに目をそらす一年生。

まったく、なさけない。

まぁ、ね、気持ちは分かるけど。
投球練習もやったことないのに、いきなり決勝でピッチャーやれって言うのは、さすがにムチャってものよ。


「俺、やります」

「お前がやったら、誰がキャッチャーやるんだよ」


誰も名乗らないチームメイトを見て、おずおずと手をあげた一輝くんにためいきをつく敦士。


「じゃあ、アンタ?」


敦士を指差すと、目をそらしていた一年生たちもコクコクとうなずいて、すぐに賛同する。


「はぁっ!?俺かよ!?
やったことねーよ、ピッチャーなんて」

「仕方ないでしょ、アンタくらいしかマトモに投げれそうなやついないんだから。
みのるはメガネが壊れたんだし」

「俺も!敦士先輩がよかです!
こんなかでは、敦士先輩が一番ピッチャーむきやけん」


明らかに乗り気でない敦士に、あたしと一輝くん始め、みんなでいっせいにたたみかける。


実際、みのるをのぞくと、ピッチャー候補としては敦士が一番マシだもん、仕方ない。

最初はピッチャーかと思ったくらいに、敦士だったら球も速いし、コントロールもいい。






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